2015年6月7日日曜日

マン島への旅2015.06.04<予期せぬ再会、編>~Auld lang syne~

そうそう。
マン島T.T.のファンの方々に、ひとつ、ご報告。


今回ね。
懐かしい・・・というにはまだたったの二年、でももう二年も経ってしまった、あの人に、思わぬ形で再会出来ました。僕(´ー`)。



松下ヨシナリ選手。

TTMA(T.T.マーシャルアソシエーション)で渡された今年の資料冊子の表紙に。
彼のライディング姿、グースネックコーナーを駆け抜ける写真が、使われていました(*´▽`*)



僕の、過去三回のマン島で、上陸後に必ず握手をしてくれた、松下さん。
マン島で言葉を交わすようになってからは、日本国内のサーキットでも必ず僕のことを先に見つけてくれて、声をかけてくれた松下さん。


・・・居なくなって久しいけれど。


こんな形で。
マン島の皆も、ちゃんと彼をリスペクトしつつ、記憶に留めていてくれる。



本屋さんに行けばね。
これまでにレースで居なくなってしまった、選手や、マーシャル関係者の記録本も、一般の人々が普通に購入できる形として、置いてあるし。


ちゃんと記録と記憶に残そうとすること。

それって凄いよね。
日本人の感覚からすると、感心してしまうくらい。
でもどこか、僕ら日本人が、そういったことをあまり得意でないということが少し、残念にも感じてしまうくらいに。

これが日本だったらさ、こういった冊子でも、必ず存命の、少なくとも直近シーズンの写真を、使うものね。

僕は欧州含め、マン島にはこういった文化があるところが、うらやましいなぁ、と思います。



ただいま。松下さん(^_-)-☆
またマン島に僕、帰ってきちゃいました(笑)

そう言って心の中で、握手、してみました。

マン島への旅2015.06.04<オレンジアーミー、出動!編>~One More Chance~

今日の一日を一言で表現するなら。

「これでもう足を、踏み入れちゃったな(;一_一)」というところ。


・・・この感覚。
えらく久し振りに感じた、自分のことがもどかしい、でも今現時点では、精一杯やった、感。



<<やっと下書きを書き終えて自分で読み直し、書いたはいいものの正直、この日記をアップして良いものかどうか、迷いました。転載とかしないでね。以降、ちょいと内容がシビアで表現も適切ではないかもしれませんので、お読みになる方は、ご自身の判断で、どうぞ。>>




今日は朝の七時前に、目が覚めて。空は、曇天。ちょっとがっかり。

昨日の行動を考えると、もちろんクタクタだったし、なんでこんな時間に目が覚めたの(。´・ω・)?
という感じ。

今日は夕方からのプラクティスだから。シーターミナルに行き、日記をアップして。メール返信を数本。
Lyndaの家からもネットは使えるんだけどなぜか、WiFiが調子悪くてぷつぷつ途切れる上にメール送受信できないんだもん。


さて、それから。

港近くのNoaBakehouseというカフェに行き。
ここで働く島在住の日本人、Atskoさんと再会を喜びつつ、「さっき本田博俊さんが来たんです~」という言葉にちょいと驚きながら、きっと僕のマン島トモダチゆっき~さんがアテンドしてきたんだろうなと、納得。


うっしゃ。ここでひとりランチとします(^^♪。

このお店はAtskoさんが居るからかな。味も馴染みやすくて、日本人にはおススメのカフェです。
ん~、ンマいなぁ(*´▽`*)

Atskoさんに「また来るね~♪」と挨拶して店を後に。
自転車を押しながらてくてく歩いてポストオフィスに向かいます。


友人数人にポストカードなぞを送ろうと買いに行ったものの、なぜだか今年はバイクの絵葉書がほとんど皆無で(切手はたくさんあったけどね)、仕方なく、街ブラついでに、電子ガジェット屋?をひやかし、バイク用品店を冷やかし、文房具&お土産屋で目的のポストカード数枚とお・み・や・げ♪を幾つか購入し。



・・・あ、お土産希望の方、コメントくださいね(^_-)-☆

(コメントくれないと、お土産はありませんよ~。あしからず)
↑↑↑別に本名なんていらんので、ハンドルネームでも良いし所有バイク名でも良いし。
僕とおトモダチ希望(笑)の方も是非どうぞ~



そして。
いよいよ迫りくる、集合時間を気にしながら。
さて今日は、昨日の集合場所へ、自転車で向かわなければ、なりません。

行けるかなぁ・・・(;´・ω・)?

押し寄せる、一抹の不安。
ってか、すでに足がパンパンだし(運動不足)。


Lynda家に戻り、着替えをして。さぁ出発。

もうね。もうぜってぇ~二度と自転車メインでマン島は行動しない今後!と心の中でつぶやいたのは玄関を出て二分後(爆)。

足が動かん!遠い!坂多すぎ!!

まぁなんとかグランドスタンド前に来てですね。車も多いからね。T.T.スタート地点をチョイ過ぎ、腕のストップウォッチをスタート。
最初の下り坂ブレイヒルを過ぎ・・・うぅ、俺死ぬ、まぢで死ねる(ノД`)・゜・。。

なんせロードクローズまで、あと一時間を切ってる。つまり周りは皆、クローズギリギリまで移動する、狂った観客たち。

たぶん自転車も左側通行だろうと、歩道もないところをひたすら漕ぐわけだけれど、、、足が動かん!上り坂キツイ!で、ほぼ全開で走ってくるたくさんのバイクなんかに抜かれようものならそのたびに追い越し際の風が怖い!


・・・結果、集合場所に三十分程で着いた。自分を褒めてあげたい。

でもたぶん、JohnMcguinessならここまでで2分くらい(爆)


たどり着いたはいいけれど。
今日は頼りのAidanが欠席だから、誰もちゃんと僕の状況を知ってる人がいない中での、完全アウェイ状態。
でもここまで来たら、やるしかない( `ー´)ノ。

走行開始直前、今日の現場配置の同僚メンバーに。
「たぶん、僕はあなたたちの話す内容の・・・40パーセントくらいしか、理解できてない(かな~り、嘘)。だから、、、もし・・・」
「オーケィ、ゆっくり話せばいいんだろ?」
「いやいや、もし、緊急事態が起こった時は、短いセンテンスで、叫んでくれれば。例えば、、、Road surface check ! みたいにね(^_-)-☆。僕は自分の安全を確保しながら、理解して動くから!」と猛アピール。

あ、もちろん、こんな滑らかに会話してないけど(笑)
こんな感じね。
「if,,,ah,,,maybe, your spoke English,,,I understand, 40%. so, if...」
「Okey, allright, speak slowry ?」
「No, No, ,,,if,,,emagency happen,,,,,please short sentence to me, exsample,,,"Dai ! Road
surface check" etc...」

・・・通じたかな?とちょっと不安になりつつ、走行がスタート。


そしていよいよ。
「その時」が来たんだ、今日。
そう、まさに。でもよりによって。今日に限って(+o+)。

自転車通勤だってこともあり、荷物を極力減らそうとしたのが、裏目に出た。
防護用のラテックスグローブやサングラス、普段必ず持ち歩いてるエマージェンシーキットすら全部、部屋に置いてきたし。
ナイフは元々、日本を出るときに置いてきてしまった。。。そんな時に限って。

Bad accident.

まさに、DVDで繰り返し見た、あの光景が・・・目の前で。
わずか50m違えば、それは僕らの待機場所に「降って」きたはずで(◎_◎;)。

60kmの中の、わずか50m、の違い。

マシンと人間が、路面に叩き付けられながら、クラッシュパッドへ一直線。
激突後、大きく跳ね上がって、コース中央。
ライダーは壊れた人形よろしく、路面に横たわったまま。ピクリとも、動きはしない。

「Wait、Wait !」

僕や他初めてのメンバーが飛び出すのを警戒してか、チーフが皆に向かって叫ぶ。
僕は深呼吸をして消火器、デッキブラシ、ナイロンスリング、とにかく手に持てるものを準備し、チーフの後に続き合図ととともにダッシュ=3

現場は、まさに壮絶の一言。

二十年以上、東日本のあちこちのサーキットを巡って、現場を経験してきた僕でも。
正直、単独事故であそこまでの現場は、見たことがない。

そりゃぁそうだ。ここは、緩い右コーナーと、その立上り区間だから、、、レース中は当然、どのライダーもアクセル全開。
ランオフエリア(砂利やグリーン等の減速区間)は一切なし。民家の壁はクラッシュパッドで覆れているけれど、あんなの飾りにしかならない。

コースアウトは直、壁に激突を意味する。


次々と後続のライダーたちが、現場へと走行してくる。
おそらく、コースのかなり手前からイエローフラッグによる減速区間となっているんだろう、レーシングスピードで突っ込んでくる奴はいない。

後方(レースの進行方向とは逆、ね)に注意を払いながら、まずはマシンの撤去。
デブリ(散乱物)を蹴り出し、掃き出し。
幸いにもオイルや冷却水が撒き散らされてはいないようだったけど。
・・・代りに、ライダーの、血だまり。

そしてなぜか、どこかの壁の上にでも置いてあったのかな?ミルクが散乱してて。

それらを皆で手際良く処理して。
一通りの作業を済ませ、振り返ると。
ライダーを歩道に移動させて、ファーストレスキューが始まってた。

出来ることはないかと、駆け寄る。どうやらライダーの意識はあるようだ。

「ダイ!my small bag, please !」←待機場所にある!とも言ってた、、、と思う。
血まみれのライダー、その頭部を支えていた現場ドクターの、Peterが叫ぶ。
僕はさっきまでいた待機場所にダッシュで戻り、ネックガードとポーチを引っ掴んで、周りの皆が目を丸くしてるのを横目に、またダッシュ=3

すぐにPeterと場所を変わったんだけど、「ダイ!ライダーに話しかけ続けろ!」って(*_*;
よりによって、なんで僕やねん・・・って仕方ないか、頭部支えちゃったもんな。

まるでお手本のような、日本で繰り返し訓練した現場そのもの。
この場面では、頭部保持者が、負傷者が意識を遠ざけてしまわないように、話しかけ続けなければならない。

苦笑いしつつ、「OK, OK, 〇△◇(ライダーの名前、ね), don't warry, don't warry」って、自分でもなに言ってんだか、わからんけれどとにかく。


・・・でもあれじゃきっと、話しかけられてるライダーの方が、心配になるよなぁ( ;∀;)

だって例えるなら、自分が瀕死の状態で倒れてる時に、「ダイジョーブ、ダイジョーブ、痛クナイネ、アナタ問題ナイヨ。ダイジョーブ」みたいな片言の日本語で怪しげなガイジン、から話しかけられてる図ってことだもんね。たぶん(苦笑)


あ、この場で、苦笑い、でも。
笑顔、大事。
なんせライダーの視界には、見上げる空と、僕の顔だけだからね。
大丈夫!って言ってるその顔が引き攣ってたら、ダメでしょ?


その間にも、各負傷箇所のチェック、止血、ブーツを脱がせ、ツナギを切り裂いて鎮痛剤?注射、などの処置が続く。

日本でのレースにおいて、事故現場でライダーの着ている革ツナギを切り裂いたり、ヘルメットを脱がせたりっていうことは、まずありえない。少なくとも僕はそれを見た経験はない。

僕個人、あちこちに出向いて繰り返しそういった「訓練」はしてきたけど、、、、でも実際は、救急車に乗せて医務室連れて行ってしまったほうが、確実だから。
日本国内のサーキットならば、敷地内に医務室があるので、数分とかからず運べるしね。


だから正直、ここまでの処置を現場で行うっていう場面に遭遇することは、この先マン島T.T.へ通い続けても、一回あるかないかだろうな、と思ってた。
それが、重大事故が多い場所を自分で希望したとはいえ、配置換えしょっぱなからの洗礼を浴びた。
あ、、、浴びたといえば。気が付いたら、返り血を浴びてる。。。


冷静になってライダーに取りついたマーシャルたちを観察してみたら。
なんと誰も、ラテックスグローブをしておらず。
皆が手に血を浴びながら作業してるぢゃん!!

う~む、次回からは人数分、僕が用意してこなくちゃな( 一一)
↑↑↑部屋に置いてきた奴

ってか、現場ドクターのPeterまでもが、なぜに素手で処置してるんだ?!
後から到着したドクターヘリの皆は、ちゃんと防護用にグローブしてるのに。。。
ここは改善の余地あり、です。


まぁともかく。

この後も、壊れた柵、飛び散ったクラッシュパッドを運び出すなどを、ヘリコプターで飛び立ったライダー搬送後に行って。
(大きなデブリ以外の掃除は塵が舞い散るから、現場でライダーの処置をしてる時には、ストップしていた)


・・・そしてその後(ずいぶん長く感じられたけど、たぶん30~40分くらいの中断だったのかなぁ?)、プラクティスが再開。

皆が口々に、「ダイ、are you allright ?」って、心配そうに僕に声かけてくれる。
さすがに壮絶な現場だったから、僕がショックを受けてるだろうと、心配してくれてんだね。
「I'm OK, fine (^^)b」と、サムアップ。

にしてもやっぱり、場数を踏んでるんだろうなここの人たち(ーー)。


僕はやっぱり、言葉がわからないから。
一つの作業を終え、その合間に、次の行動まで躊躇してる場面が瞬間瞬間であったんだけど。
皆は淀み無く次の作業、その次の作業、って処理を続けてた。

でも言葉の壁がなくとも。
慣れてなくては、あぁいった動きには、ならないからね(^_-)-☆。

日本のオフィシャルと同じく、普段は皆色んな職業なんだけど、T.T.の時だけコースに集う。
だから本業がそれぞれなんなのかは知らないけど、現場でのほんとに簡単な打ち合わせの後、であの動きだもの。

2013年のスタートラインで出火したときの周りの他マーシャルの反応とは、やはり大きく違っていて。
僕が今回志望したこのセクターが、こういった重大事故が多い場所であることが、今回のような場面に遭遇すると、良く判る。。。


それでも。
今日の自分の最初の心構えに、どこか甘えはあったけれど。
不足してしまってた手持ちの装備で、出来うる限りの、行動は出来たと思うから。
自己採点は、65点。かな。

もちろん、反省点は毎度のことだけど、山のようにあるわけで。

でも。
正解なんていつもないけど。
いつも何かしら悔んだり、反省もしたりすること多いけれど。
「次こそは!」と常に思う。

そう、次。
こう思ってしまったら、やめられない。抜けられない。

どこにも正解のない(でも明らかな失敗だけはある)、終わりのない日々の始まりに、片足突っ込んだ今回のマン島T.T.の、はじまり、でした。